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長野地方裁判所 平成2年(わ)200号 判決 1991年3月22日

本店所在地

長野県佐久市大字中込三一五〇番地一

有限会社

ホテル一萬里

(右代表取締役 畠山富夫)

本籍

長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉五七七六番地

住居

同郡軽井沢町大字長倉五五三八番地六

会社役員

畠山富夫

昭和一一年四月二五日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官荒木俊夫出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社ホテル一萬里を罰金八〇〇万円に、被告人畠山富夫を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人畠山富夫に対しこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社ホテル一萬里は長野県佐久市大字中込三一五〇番地一に本店を置き、旅館業等を目的とする資本金二〇五六万円の法人であり、被告人畠山富夫は被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人畠山は、被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、固定資産の売却代金の一部を除外して簿外の割引債券を購入する等の方法により所得を隠匿した上、昭和六三三月一日から平成元年二月二八日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一億五五〇三万九四四三円であったにもかかわらず、平成元年五月一日、同市大字岩村田一二〇一番地の二所在の所轄佐久税務署において同税務署長に対し、その所得金額が、六二四一万五三〇三円でこれに対する法人税額が一八七三万四〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額五七六三万六一〇〇円と右申告税額との差額三八九〇万二一〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人会社代表社兼被告人(以下単に被告人という)の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する平成元年一〇月三日付け、同月四日付け、同月五日付け、同年一一月九日付け、同月一六日付け、同月一七日付け、同年一二月六日付け(一)ないし(三)及び同二年三月六日付け各質問てん末書

一  被告人作成の答申書(一)ないし(七)

一  高橋康一の検察官に対する各供述調書の抄本(二通)

一  高橋康一(四通)、内堀實、原田崇義及び吉沢正宣(三通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官森山泰治作成の確認書

一  大蔵事務官藤井弘作の検査てん末書

一  大蔵事務官作成の現金及び預金調査書、有価証券調査書、未収有価証券償還益調査書、代表者貸付金調査書、仮受金調査書、未払源泉税調査書、固定資産売却益調査書、有価証券償還益調査書及び支払源泉税調査書

一  大蔵事務官作成の修正損益計算書、修正貸借対照表、査察更生決議書(一)(二)及び脱税額計算書

一  佐久税務署長作成の平成元年一一月九日付け(一)、同月一六日付け、同二年二月二六日付け(一)及び(三)各回答書

一  登記官作成北佐久郡軽井沢町大字軽井沢字上押出し四九一番五の土地登記簿謄本

一  有限会社ホテル一萬里の商業登記簿謄本

(法令の適用)

被告人畠山及び被告人会社の判示所為は、法人税法第一五九条第一項(被告人会社については、さらに同法第一六四条第一項)にそれぞれ該当するところ、被告人会社については情状に鑑み同法第一五九条第二項を適用し、その所定金額の範囲内で被告人会社を罰金八〇〇万円に、被告人畠山については所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で被告人畠山を懲役一〇月にそれぞれ処し、被告人畠山に対し刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 中野保昭)

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